森鴎外曰く。

『一体日本人は生きるということを知っているのだろうか。小学校の門を潜ってからといふものは、一しょう懸命に此学校時代を駆け抜けようとする。その先には生活があると思ふのである。学校といふものを離れて職業にあり附くと、その職業を為し遂げてしまはうとする。その先には生活があると思ふのである。そしてその先には生活はないのである。』


ヨーロッパ文化の洗礼を受けたあと、明治43年つまり1910年に書いた文章。