光の指で触れよ
- 作者: 池澤夏樹
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2008/01
- メディア: 単行本
- クリック: 12回
- この商品を含むブログ (23件) を見る
ここ数年読むという気にならなかったから、
物語りを読まなかった。
急に、久しぶりに長編小説を読んだ。
活字を追う、物語りに入り込む、昼夜場所を問わず読みふける、この感じ。
こんな感じで小説を読んだ最後は、覚えている限りでは…、4年前だ。
出会いというのは滅多にないからこそ嬉しいのでもあり。
/
キル
毎年恒例のNODAMAPをシアターコクーンに観に行く。
再演なのでストーリーよりどうしても役者の演技に目がいっちゃう。
妻夫木聡と広末涼子というキャッチーなキャスティングでどうなるのかなあ、
と思っていたけど、妻夫木君やりますなあ。
12月から一ヶ月以上公演が続いているので皆声が嗄れていた。
一体どんな状況なのか?
一ヶ月以上毎日あのお芝居を演じ続ける日々。
帰りに焼き鳥屋に寄った。余りにも久しぶりに居酒屋にいったので、
酔っぱらって赤い顔した人がたくさんいる、
しかもタバコの煙でモクモクという状況がすごく新鮮だった。
帰りのバスは終バスで人が少なくロンドンのクラブ帰りのナイトバスを思い出した。
人が本気になっている姿を間近で見る事って滅多にないけど
そんな姿はそれだけで心を打つ。
それが生の、舞台の醍醐味。なんてことをほろ酔い気分で思いながら
窓に映る自分の影と夜の景色を眺める。
http://www.nodamap.com/02kiru/top.html
巨匠!!
- 出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ
- 発売日: 2007/12/07
- メディア: DVD
- クリック: 3回
- この商品を含むブログ (3件) を見る
最近私にしてはめずらしく雪かき的仕事をがしがしこなす生活が続いている。
仕事があるのはありがたいことですが、喉が渇くんだよね雪かき仕事は。
そんな中、何の脈略もなく唐突に巨匠KUROSAWAの『夢』を観る。
巨匠の作品を観るのは実は初めてで…。
男臭く泥臭く骨太な感じをイメージしていたけれど、
『夢』は割と晩年の作品だからなのか、
私の勝手なイメージとはだいぶ違う映画だった。
大人の日本人の趣味が良く教養のある、そんな人が作った映画。
説教臭い社会に対する責任感も、
おじいちゃんがいたらこんなこと言ってそう、な感じ。
これを世界中の人が日本文化を代表する映画として観ていたのかぁと、
私は今更そんな周知の事実を知ったよ。
そして思い返せば、この『夢』からの引用を色々な作品に見つけられる。
元ネタは巨匠でしたか。
というよりも『夢』自体が巨匠一人の創造によるものではなく
日本人がいつもどこかで抱いていた『夢』を
映像化したものであるようにも思え、
そう考えると元来日本人はオリジナリティなんてものには
それほど価値を置いてこなかった、っていう話も大きくうなずける。
オリジナリティ(西洋的価値観)では測れない
ジャパニースカルチャーの真髄が、
きっとここにはあるよ。
なんて、話を急に大きくしてしまった。
というのも、つい最近友人が、
ドコモのCMがあまりにもあからさまにミシェル・ゴンドリーの作風を
パクっていて、その上出来が悪いと激怒していたのを思い出したから。
まあそんな話はさておき、
これからしばらくは巨匠の作品を観よう月間がはじまるかもね。
巨匠!! 初めまして!
/
動かない映像は写真ですか?
BS朝日でやっていた「須賀敦子静かなる魂の旅」という番組をみる。
民放でこういう番組が作れるなんて、BSチャンネルってすごい可能性を持っているのだなあ。
テレビで流れている映像を見ていて「あれ?これ写真?」と疑ったことは今迄一度もなかったけど、
画面に映っている風景(とかテーブルセットとか部屋とか)の中に動いているものが一つもなければ
構造としては写真なんだ!という発見を今更してしまった。
それほど、映像が写真的に美しかった。
少人数のクルーで動かないとこういう映像は絶対に作れないよ、と思ってエンドロールをみると
制作に関わった人の数がほんとに少なかった。
制作はテレビマンユニオン、カメラは重本正さんという方でした。
ちなみにこの番組は去年放映されたものの第二弾だそうです。
第一弾の再放送求む!
http://www.bs-asahi.co.jp/italy/index.html
/
ジャン・ルノワール
- 出版社/メーカー: 東北新社
- 発売日: 1998/02/27
- メディア: VHS
- この商品を含むブログ (1件) を見る
随分前に昼下がりのNHKで『フレンチ・カンカン』が流れてたのをたまたま観て虜になり、
そのうちゆっくり観ようと思っていた『草の上の昼食』。
残念なことに『フレンチ・カンカン』も『草の上の昼食』もリマスターされてない。
そして画質が恐ろしく悪い。
(ビデオのパッケージに途中でノイズが入りますと但し書きがしてある程です。)
技術的にデジタルリマスターが不可能なのだろうか?
ジャン・ルノワールの作品をこんな状態で放っておくなんて、
オーギュストの作品にカビを生やすようなもんだよ。
人類にとって大きな損失です。
自然と人間の生きる歓び、こんなに幸せな映画はないなあ。
The science of sleep
ミシェル・ゴンドリーの一番最近の作品。
この人は本気で(というか素で?)で撮るとアメリカ映画ではなくフランス映画になるのか。
どこかゴダールとかルイ・マルを連想させる。
いつも緻密なミシェル・ゴンドリーだけど今回はある意味崩壊寸前ていうか。
それはそれで良かった。
それにしても『恋愛睡眠のすすめ』という邦題は誤解を生むのではないかな。
20年後に自分の娘が「昔の映画でも観てみようかな〜」なんて感じでレンタル屋に行って、
この邦題で興味を抱いてくれるだろうか、不安だ。
とにかく20年後にも残る、名作だと思いました。
そう思わない人もたくさんいるだろうという事も薄々判る、
要するに偏りのある作品ではあったけど。
レンズはツァイス
ソフィア・コッポラの『マリー・アントワネット』を観て消化不良気味になったので、
これを良い機会にと観たかったキューブリックの『バリー・リンドン』を観た。
ヨーロッパ中世モノつながりで。
これと比べたらソフィア・コッポラも気の毒か、と思うくらい
絵作りに差が開いていた。
完璧に美しい絵の紙芝居を観ているような映画だった。
妥協しない、というかできないというか、そういう性分なんだろうなあ。
願わくばデジタルリマスターされてフィルムの色が再現された状態で観てみたい。
デジタルリマスターして欲しい映画リストが又増えちゃった。
ついでにいうとストーリーもおもしろかった。
微妙なラインで全てがツボにはまり一人で吹き出しちゃう感じが。
音楽のセレクト/使い方も絶妙だった。
ここまでくるとただ単に私の好みの問題だ。
好きな映画、というか「あなたのその映画作りにたいする姿勢が好きです。」という映画でした。